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若手研究者の声
2025年夏季リトリート 受賞者コメント
2025年9月26日
8月25日(月)、26日(火)の2日間にわたってJIHS(Japan Institute of Health Security)発足後初の国立国際医療研究所夏季リトリートを開催いたしました。このリトリートは、毎年夏に国立国際医療研究所の若手研究者が最新の研究成果を発表し、建設的な討論による研究のさらなる発展と研究者としての成長を促す研究会です。開催には若手研究者が自ら積極的に関与し、研究以外の能力の向上も企図しています。「口頭発表セッション」と「ポスターセッション」にはエイズ治療・研究開発センターにも参加戴き、それぞれの演題数は「22」と「27」、合計150名を超える方々の参加登録をいただきました。優秀な発表には満屋研究所長から所長賞が贈られ、最優秀賞として森川隆之さん(造血システム研究部)、優秀賞は中嶋舞さん(熱帯医学・マラリア研究部)が受賞されました。そして、昨年度から設置されたポスター賞には、寺村侑さん(脂質生命科学研究部)が選出されました。研究組織の財産である若手研究者が存分に活躍できる場としてリトリートを継続して参りたいと思います。
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森川 隆之
所属:国立国際医療研究所 造血システム研究部
演題名:骨髄代謝・血流動態の変容に起因する加齢による造血幹細胞ホーミング障害の機序解明
受賞コメント:この度は受賞の機会を頂き誠にありがとうございました。本リトリートでは多くの素晴らしいご発表の中、私共造血システム研究部の演題もご評価賜り大変恐縮しております。どの演題も深い知識と高度の実験技術に基づいた研究をされており、改めて国立国際医療研究所の若手の高い研究レベルに気づかされたと同時に、それを支えて下さっている、動物施設、共通機器室、そして事務系の皆さまの日々のご尽力に改めて感謝申し上げます。いただいた賞に恥じぬよう、この恵まれた研究環境を生かして造血幹細胞移植における様々な障害の克服を目指しさらに精進を続けて参ります。
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中嶋 舞
所属:国立国際医療研究所 熱帯医学・マラリア研究部
演題名:マラリア原虫のヘテロクロマチンによる有性生殖遺伝子発現制御機構の解明
受賞コメント:このたびは、NIGHM夏季リトリート2025において優秀賞に選出いただき、誠に光栄に存じます。私は今年4月よりNIGHMに着任し、マラリア原虫における有性生殖の分子機構の解明に取り組んでいます。今回発表させていただいたこの研究は、ポスドク後に初めて自分で独立して立ち上げたオリジナルのテーマです。3年前にゼロから構想し、試行錯誤を重ねながら進め、やっと芽が出てきました。今回の受賞は、多くの先生方が本研究へ興味を持ってくださり、今後の可能性を見出しエールを送っていただけた証のようで、大変励みになっております。今後はNIGHMの環境を活かしながら、本研究を創薬はじめ医療応用研究として発展させ、マラリア根絶に貢献できるような成果を目指してまいります。日々楽しく研究できるのは熱帯医学・マラリア研究部の皆様の温かいサポートのおかげです。また、リトリートにて建設的なディスカッションをして下さった研究所の皆様にも心より感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。
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寺村 侑
所属:国立国際医療研究所 脂質生命科学研究部
演題名:DHAリン脂質合成酵素LPLAT3は内耳シナプス小胞形成を介して聴覚に寄与する
受賞コメント:このたびはベストポスター賞という身に余る評価を賜り、厚く御礼申し上げます。日頃よりご指導・ご支援を賜りました先生方、共同研究者、研究所の皆様に深く感謝申し上げます。発表では、DHAリン脂質と聴覚の関係を示すデータをご紹介しました。これは近年注目されるようになってきました末梢聴覚と代謝の連関を示す重要な知見と考えておりますが、一部説明が抽象的に響いた点があり、今後の課題と反省しております次第です。有毛細胞に限定したリピドミクスの立ち上げと、動的指標の追加により、仮説を定量的に裏づけ、脂質リモデリングが聴覚機能に果たす役割をより明瞭にしていきたいと考えております。いただいた貴重なご助言を糧に、成果の論文化と次の展開へとつなげてまいります。
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